立 直あだちなおき日本ではあまり知られていませんが、食品産業は環境負荷が非常に高い産業であり、それをよりサステナブルにするための方策が近年世界的に議論されています。外食チェーンはもちろんその重要な一部であり、3,000店弱と日本最大の店舗数を誇るマクドナルドは、影響だけでなく、責任も大きいと考えられます。そういう思いでこのレポートを読み進めたのですが、マクドナルドが業界のリーダーとして、サステナビリティの分野でも積極的に業界をリードしようと責任を持って取り組んでいる様子がよく伝わってきました。例えば、原材料の調達はもっとも環境への影響が大きいプロセスですが、プラスチックの利用を減らし、代わりに使用する木や紙については100%認証されたものに切り替えています。代表的な商品の一つであるフィレオフィッシュ®の白身魚やコーヒー豆も、サステナブルと認証されたものを100%使用しています。マクドナルドのように大量の原材料を調達する企業が100%を達成することは大変な偉業であると敬意を表します。パーム油、大豆、ビーフについてはよりサステナビリティへの配慮を高めることができるはずと考えますが、そのための移行過程にあることは十分に伝わってきました。調達量と影響が大きいビーフやポテト、エビなどについて、今後の進展を期待しています。※ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンData38McDonald’s Sustainability Report 2023IntroductionOur PlanetFood Quality & Sourcingまた、マクドナルドで働く方は、店舗のスタッフを含めると20万人にもなるそうで、しかも性別、年齢、国籍など実に多様です。そうしたすべての方々にとって働きやすい職場環境を整備することは並大抵ではないでしょう。最近でこそ多くの企業がDE&I※を謳っていますが、マクドナルドはその最先端を実践して来たのです。そこで培われた経験は他の企業にも参考になるでしょうし、最近増加している外部の配達員などにも生かしてもらえればと思います。管理職の社員においては、女性の割合が全社員の男女比とはやや乖離しているようですが、2030年までには目標が達成され、より良いチームとなるに違いありません。地域社会、特に子供を応援する視線もよく伝わってきました。現在、子供にとってますます重要になっているのが、栄養バランスの取れた食事を取ることです。海外では子供向けの食品や広告に対する規制も始まっています。ぜひ栄養や健康面でも子供たちを応援していただきたいと思います。いくつか残されている問題は、解決が容易ではないことも多いでしょう。しかし、今や食の分野においても環境と社会のサステナビリティは前提条件です。日本ではマクドナルドが新しいレストランのあり方を切り拓いてくれるものと期待しています。Jobs, Inclusion & EmpowermentCommunity Connection株式会社レスポンスアビリティ 代表取締役一般社団法人企業と生物多様性イニシアティブ(JBIB)理事・事務局長一般社団法人日本エシカル推進協議会 副会長・理事博士(理学) 足すべては、おいしさと笑顔を地域の皆さまにお届けするために。樹第三者意見
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