都会のオアシス褒める達人年齢なんて……少しだけでも元気になっていただきたいスのように、この店舗には穏やかな時間が流れている。中桐さんは、接客に加えて、仲間の良いところを見つける達人でもある。「素晴らしいです」が彼女の口癖で、些細なことであっても一つでも仲間の良いところを見つけると伝えないと気が済まない。そのため、中桐さんが仲間に声をかけると、必ずと言っていいほど褒め合い合戦が始まる。「褒めてもらえるので、一緒に働くのがいつも楽しみなんです」。仲間にとっても、中桐さんは元気の源になっている。だから、彼女の周りにはいつも笑顔が絶えない。そして、自身が店舗の中で年長者であっても、相手に対する敬意を絶対に忘れない。中桐さんに仲間の話を聞くと、一人ひとりの長所とそれにまつわるエピソードがたくさん溢れてきて止まらない。「皆さん本当に素晴らしい方ばかりで、勉強させてもらっています。何度も助けていただいており、本当に仲間には恵まれていると思います」。常に謙虚な姿勢だからこそ、周りから多くのことを学び、彼女は成長し続けられているのだろう。「簡単には越えられないハードルを目の前にすると、私はワクワクするんです。飲食業の経験はなかったんですが、だからこそマクドナルドでチャレンジしてみたいと思いました。何より、お客様が来店された時よりも、少しにこやかになって帰って行かれる姿を見るのが好きなんです」。挑戦することと、笑顔が大好き。70歳を迎えてから、中桐さんがマクドナルドという新たな職場にチャレンジしたのは、もしかすると必然だったのかもしれない。「年齢なんて、ゼッケンみたいなものですから。皆さんのお役に立てるのなら、できるところまで働きたいですね」。彼女の話を聞いていると、今日も、明日も、明後日も、なんだか頑張れそうな気持ちになれる。多くの企業がオフィスを構えるビルの地下1階、食事の時間帯になると、たくさんのビジネスパーソンで品川インターシティ店は賑わう。そんな中、お客様一人ひとりを丁寧で上品な接客でお迎えしているのが中桐さんだ。所作も言葉づかいも非常に美しい。それもそのはず、彼女は茶道歴60年以上で、秘書やレセプショニストなどのさまざまな経験を積んできた。これまでの人生で磨いてきたおもてなしの心と技術を、彼女はマクドナルドの店内でも存分に発揮している。 「スピーディな対応が求められる中で、1秒だけでも良いので心を込めて感謝の気持ちを伝えたいと思っています」。そんな温かい信念はお客様にもしっかりと届いており、「ご丁寧にありがとうございます」「これから仕事ですが、なんだか頑張れそうです」など、多くの感謝の言葉が中桐さんに寄せられている。都会の喧騒の中にある小さなオアシ 11
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