世間では夏休みが始まり、デリバリーも忙しくなってきたある日の夕方。いつも通り配達に伺うと、中から年配の女性が出てこられました。玄関先で商品をお渡ししていると、廊下の奥から笑い声が。「楽しそうですね」と私が言うと、「普段はなかなか会えない孫が2人、ひさしぶりに遊びに来たの」と、彼女はうれしそうにおっしゃいました。聞けば、「マックが食べたい!」とお孫さんたちからリクエストがあったのだとか。「私は足腰が悪いから、2人だけで行っておいで」と伝えたところお孫さんが「デリバリーで注文できるよ」と教えてくれたといいます。おかげで、みんなでスマートフォンを覗き込みながら、楽しくメニューを選べたそうです。「めったにない機会だから、孫たちの好きなものを一緒に食べることができて良かったわ。本当にありがとう」と、心温まるお言葉をいただきました。テーブルを囲んでどんな会話をしたのかな。笑顔の溢れるひとときになったかな。そんなことを考えながらお店に帰りました。私も自然と笑顔になっていたと思います。デリバリーを通じて食卓に明るさを届けられたことが誇らしく、私の方がプレゼントをもらったような気持ちになりました。お客様やクルーから寄せられた実話をもとにしたショートストーリー。16Feel-Good Story明るい食卓
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