マクドナルドが掲げる「Up to You あなた次第で、どこまでも成長できる」という考え方に惹かれて入社した私は、初めて店長を務めることになった店舗でもマネジメントに力を入れると決めていました。しかし、クルーの働きぶりを知りたいと思う一方で、売上などの数字と向き合う仕事もせねばならず、そのバランスを見極める難しさを感じていました。そして、一人ひとりがより具体的で緻密な数字目標を立てられるようにという思いから、だんだんとバックヤードでの業務の比重が増すようになっていきました。
しかし、ある時、主婦クルーの方が私のところにやってきて、こう言いました。
「一緒にお店に入りませんか? 私たち、店長ともっと話したいんです」。
涙混じりの声でした。キッチンやカウンターに入る時間をとっていなかったわけではありません。しかし、「店長としての役割はバックヤードで果たせている」と現状に満足するようになり、いつの間にかシフトを回すための“いち戦力”という心持ちで店舗に入るようになってしまっていたんです。マネジメントに力を入れたいと思うあまり、成長の道筋を立てるための数字的な課題設定に目を向けすぎていて、肝心の“人”をしっかり見ていなかったのだと痛感しました。この一言をきっかけにクルーたちとの接点を持とうと思い立ち、キッチンやカウンターに入る時間帯を調整して、より多くのクルーたちとコミュニケーションを取るようにしました。これは当時の私にとって、大きな変化でした。
みんなにとってプラスになるアドバイスをしたい。そんな思いから、クルーたちの動きをじっくり見るようにしました。すると一人ひとりが感じていた課題点の背景にある要因をより高い解像度で結びつけることができ、効果的なアドバイスができるようになりました。もちろん、私自身も一生懸命働きました。すると、そんな姿を見て共感してくれたのか、心を開いてくれるクルーが一人、また一人と増えていきました。次第に、みんなが店舗に何を望んでいるのか、どんな成長をしたいと思っているのかなど、これまでよりもクルーたちの考えを聞き出せるようになりました。気付けば店舗独自の盛り上げ施策をクルーたちといくつも発案するほど、お店に一体感が生まれていました。
相手の考えをよく知ることは本質的な課題の発見につながり、結果として目標に向かう足並みも揃えることができます。振り返れば、あの時のクルーの一言がなければ、きっとマネジメントの本質に気付くことはできなかったでしょう。私にとって、今日につながるとても大きな気付きとなりました。